おはる谷

 昔、松の人が多勢で草刈りに行きました。
すると、空が暗くなり、雷が鳴り始め、大雨になりました。
しかたなく、みんなは草刈りをやめて帰ることにしました。
ところが、おはるといういう人一人が「わしゃ、まだ帰らん。」と草刈を続けています。
そこで、みんなが「はよ、いなんかな。」と言うのに、人だけ頑張って草を刈っています。
他の人は、あきらめて、みんな帰ってしまいました。
 あくる朝、そこへ行ってみると、おはるは雷にへそをとられて倒れて死んでいました。
そこでみんなは「おのれん、一緒にもどらんけん、そんなばちがあたったんやのう」と口々に言いました。
それから後、その山の名前が「おはる谷」と変わり、今だに松の人はその山を「おはる谷」と呼び続けているそうです。

     話をしてくださった人・・・松 宇都宮ナミ子(取材当時六十六歳)
     取材・・・・・・・・・・・・・・・平成3年度

     編集責任・・・・・・・・・・・平成10年度入学 もえ(5418)